遺言書の検認
遺言書を開封する際には、検認という手続きが必要となる場合があります。
検認とは、家庭裁判所において、相続人立会いのもと遺言書の状態や内容等を確認する手続きです。それ以降の遺言書の偽造・変造を防ぐことを目的として定められた制度です。
■手続きの流れ
まず、遺言書を保管している人(保管者がいない場合、発見した相続人)が、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に、申立書や相続人及び被相続人の戸籍謄本等の必要書類を提出して検認の申立てを行います。
これを受けて、裁判所は申立人と全ての相続人に対して検認期日を通知します。
そして、当日に、当該家庭裁判所に相続人が集まって、遺言書を開封して、遺言書の状態や内容等を確認します。
その後、遺言書の原本に検認済証明書が添付されて申立人に返還されます。
■検認が必要な場合とは
遺言書には、大きく分けて、遺言者が自書して作成する自筆証書遺言、公証役場にて作成する公正証書遺言、遺言書を封印して保管する秘密証書遺言の3種類があります。
そして、開封時に検認の手続きが必要なのは、それぞれ以下の場合に限られます。
・自筆証書遺言
自筆証書遺言は、これまで遺言者が1人で作成し自ら保管することも多かったことから、開封時には検認の手続きを経ることが絶対とされていました。
しかし、相続法の改正により、法務局に申請を行って遺言書を保管してもらえるという制度が創設されました。この制度を利用した場合、開封時の検認手続きは不要となります。
この改正法は、2020年7月10日から施行されます。
・公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人とともに作成し公証役場において保管することから、偽造・変造をされたとしても簡単に確認できるため、検認の手続は不要とされています。
・秘密証書遺言
秘密証書遺言は、その内容は秘密にされたまま封印されてしまうため、やはり検認の手続が必要となります。
遺言には様々な書き方があり、その方式によって検認の手続きが不要となったり、作成に費用がかかったりします。
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