相続放棄
■相続放棄とは
相続と聞くと、亡くなった方の預貯金や土地等の財産を受け継ぐ、といったイメージが浮かぶと思いますが、実際にはこのような財産だけでなく、借金等の債務を引き継ぐこともこれに含まれます。「相続財産」という表現には、預貯金等のプラスの財産と、借金等のマイナスの財産がいずれも含まれることになります。
相続放棄は、被相続人が生前多大な債務を負っていた場合等に、相続人がこの負担を免れるための手続きです。
相続放棄をすると、当該相続人は初めから相続人でなかったものとみなされます(民法939条)。そのため、同一順位の相続人が1人だけだった場合、相続の権利は次の順位の相続人に移ることになります。
■相続放棄の選択
相続放棄の手続きにあたっては、相続人は、単純承認、限定承認、相続放棄の3つから、いずれの方法を採るか選択することになります。
・単純承認…被相続人の有していた一切の相続財産を承継する方法。プラスの財産がマイナスの財産を上回ることが明らかな場合に有効。
・限定承認…被相続人の有していたプラスの財産の額を限度として、マイナスの財産も引き継ぐとする方法。プラスの財産とマイナスの財産、どちらが上回るか明らかでない場合に有効。
・相続放棄…被相続人の有していた一切の相続財産を承継しない方法。マイナスの財産がプラスの財産を上回ることが明らかな場合に有効。
■手続きの流れ
相続放棄にあたっては、まず、被相続人及び相続放棄を申請する人の戸籍謄本、被相続人の住民票、相続放棄の申述書等の必要書類を準備します。
これらの書類を、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に直接出向くか郵送によって提出し、相続放棄の申述を行います。
■相続放棄の期限
相続放棄あるいは限定承認をするには、相続の開始を知った日(通常、被相続人が亡くなった日)から3ヶ月以内に上記の申述を行う必要があります。
申述をせずにこの期間を経過すると、単純承認をしたものとみなされます。単純承認を選択する場合は、特に手続きを行う必要はありません。
久松法律事務所では、大阪府、兵庫県、奈良県、京都府、滋賀県、三重県を中心に、相続放棄等に関する法律相談を受け付けております。相続に関してお困りのことがございましたら、お気軽に当事務所の弁護士までご相談ください。