トラブルにならない退職勧奨の進め方
■厳しい解雇規制
日本の労働法では労働者を中途解雇するためには「客観的に合理的な理由」があり「社会通念上相当」と認められる事情がなければならず、なかなか解雇は認められません。そこで、各企業では自発的に社員に退職を促す退職勧奨が行われています。
■退職勧奨の限界
退職勧奨はあくまでも社員の自発的な退職を促す方法であり、退職の強要が認められるわけではありません。強要が認められた場合は、後になって退職が無効とされ社員に損害賠償や未払い賃金などを支払わなければならなくなる恐れがあります。強要とみなされないよう、説得の方法や時間・場所・説得にあたる担当者の人数や人選に気を配る必要があります。
■記録を残しておく
退職をさせたい社員には、指導をしたにもかかわらず満足に業務を遂行できないなど、それなりに事情があるかと思います。そこで退職勧奨に至るまでに、社員に行った指摘や指導について記録をとっておくのが重要です。記録を残しておけば、社員に説得する際に客観的に状況を説明する資料となると同時に、万が一その後トラブルになったとしても会社に落ち度がないことを示す証拠となります。
■会社の考えを真摯に説明する
何度指導を繰り返しても改善が見られない場合には退職勧奨を行われざるを得なくなると思います。その際は、しっかりとした面談の場を設け会社が求める人物像と当該従業員の現状とのギャップを丁寧に説明し、納得してもらわなければなりません。その際、先述したように指導の記録などがあると客観的な説明に役立ちます。また、転職の不安から退職を拒んでいるような場合には転職先を紹介するなど、会社が従業員をサポートすることで安心して退職できる環境を設けるという方法も考えられます。
久松法律事務所では、大阪府、兵庫県、奈良県、京都府、滋賀県、三重県を中心に労働問題に関する法律相談を受け付けております。「勤務先で労働時間についてトラブルになった」「上司からパワハラを受けている」等、労働問題に関してお困りのことがございましたら、お気軽に当事務所の弁護士までご相談ください。